皮膚科疾患

皮膚科疾患

皮膚疾患全般の診療を行っております。
令和3年度よりパッチテスト(代表的な金属およびその他のアレルゲン)とプリックテストが可能となりました。
以下に、代表的な皮膚科疾患についてご説明いたします。



◆湿疹
皮膚科の診療において最もよく遭遇する病気です。皮膚炎とも言います。かゆみを伴い、皮膚が赤くなったりカサカサしたりします。湿疹はさまざまな種類に分類され、アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、かぶれ(接触皮膚炎)、脂漏性皮膚炎などがあります。

◆アトピー性皮膚炎

慢性的に湿疹を繰り返す病気です。皮膚バリア機能の異常が基礎にあり、そこへさまざまな刺激が皮膚に作用することで病変が形成されます。適切な治療を受ければ、いずれ治ったと同様の状態になることが期待できます。通常の治療でコントロールが難しい場合に、デュピルマブという新しい注射薬(生物学的製剤)も使えるようになりました。

◆皮脂欠乏性湿疹
皮脂や汗の分泌が少ないことで皮膚が乾燥しやすく、それにより皮膚バリア機能が低下することで
さまざまな刺激に弱くなり湿疹を生じた状態です。冬季など乾燥しやすい時期や思春期前の小児、
高齢者に多くみられます。


◆蕁麻疹(じんましん)
かゆみを伴う一過性の赤い皮膚の盛り上がりで、病変はさまざまな形をとりますが、いずれもしばらくすると跡形なく消えることが特徴です。皮膚にあるマスト細胞に詰まった顆粒(主な成分はヒスタミン)がなんらかの理由で放出されることで生じます。「蕁麻」とはイラクサのことで、その葉に触れると同様の皮膚症状が起こることからこの名前がつけられたと言われています。

◆にきび
アンドロゲンというホルモンが増加し皮脂の分泌が多くなり、その作用で毛穴の先が詰まりやすくなると毛穴の中に皮脂がたまります。この状態が面皰(めんぽう)です。面皰の中はアクネ菌が増えやすい環境にあり、菌の数が増えると炎症を起こします。炎症が強いと瘢痕(はんこん)を残すことがあります。最近は、にきびに対してさまざまな薬が開発されており、早期の段階から治療ができます。

◆イボ
専門用語でウイルス性疣贅(ゆうぜい)といいます。ヒト乳頭腫ウイルスと言うウイルスの一種が皮膚の小さなキズから感染して、カサついた硬い病変ができます。一般に治りにくく再発が多い病気ですが、皮膚科医と二人三脚で焦らず根気強く治療することが大切です。病変の数がとても多かったり、病変が大きかったりして特殊な治療が必要な場合には、いちど佐賀大学医学部付属病院皮膚科を紹介受診していただくことがあります。

◆ミズイボ
専門用語で伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)といいます。伝染性軟属腫ウイルスが皮膚の小さなキズや毛穴から感染して、ツルツルした小さな病変を形成します。治療については専門家の間でも意見の分かれるところですが、当クリニックではなるべく数が少ないうちにピンセットでつまんで摘除しています。

◆虫刺され
虫が吸血する際に注入される唾液成分に対するアレルギー反応(蚊、ブユ、アブ、ノミ、トコジラミなど)、あるいは虫の毒液に含まれるヒスタミン類(ハチ、クモ、ムカデ)や、有毒毛に触れることで引き起こされるもの(チャドクガ、ドクガ、イラガなど)があります。アレルギー反応の場合、虫に刺された頻度やその人の体質によって症状の現れかたに個人差があります。

◆とびひ
専門用語で伝染性膿痂疹と言います。皮膚のキズや湿疹などから細菌が侵入し、感染症を引き起こします。病変は接触によりあっと言う間に広がり、その様子うが火事の飛び火のようであるため俗にとびひと呼ばれます。病変にはかゆみや痛みがあり、水ぶくれができたりかさぶたがついたりします。

◆ヘルペス
単純ヘルペスウイルス感染でおこる単純疱疹(こちらを俗にヘルペスと呼ぶことが多いです)と、水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹があります。いずれも一度感染すると一生涯からだの中に潜み、抵抗力が低下した時などに再発するという性格があります。内服薬や注射薬でウイルスの増殖を抑える治療を行います。

◆水虫
日本では4人に1人が罹患していると予想されている、ありふれた疾患です。白癬菌というカビの一種による感染症で、皮膚の表面にあるケラチンを栄養源とし増殖します。温泉場や銭湯、あるいは水虫の患者がいる家庭の足拭きマットには、ほぼ100%白癬菌が存在します。毎日足を清潔に保ち乾燥させれば白癬菌は落ちますが、長時間足に付着したままだと水虫がうつることになります。

◆乾癬(かんせん)
白いかさかさ(鱗屑:りんせつ.といいます)が付着する赤い病変が全身に出て、慢性に経過する病気です。爪の変形や関節痛をきたすこともあります。日本人の発症率は0.3%で、男性は女性の倍罹患しやすいとされています。当院では外用薬や内服薬、光線療法で治療をします。より専門的な治療(生物学的製剤)が必要と判断した場合には佐賀大学医学部付属病院へご紹介することがあります。

◆掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひら足の裏を中心に、膿疱とよばれるウミが溜まった皮疹が多発します。ウミがみられるといっても、ばい菌はいません(無菌性膿疱)。鎖骨や胸の中央の関節が痛むこともあります。8割の人は原因が分からず治るまでに37年かかるとされていますが、症状を軽くして、生活する上で支障がないようにコントロールしていくことが大切です。

◆薬疹
体内に摂取された薬やその代謝産物により誘発される皮膚や粘膜の発疹です。薬を開始して12週間後に、その薬に対してアレルギーを持った人の全身に赤みや痒みが生じます。薬疹には軽いものから命に係わる重症なものまでさまざまな種類があり、重症度に合った治療を行うことが大切です。

◆とこずれ(褥瘡:じょくそう)
圧迫により血液の流れが悪くなり、皮膚が痛むことで生じます。痩せて骨ばっていたり、自分で寝返りを打てなかったりする人にできやすいものです。できてしまったとこずれは主に外用薬で治しますが、皮膚科形成外科チームで手術をすることもあります。最も大切なのは予防で、何より圧迫を除去あるいは軽減することに尽きます。

◆タコ、ウオノメ
専門用語でタコは胼胝(べんち)といいます。タコもウオノメも、ともに皮膚が慢性の刺激を受けて厚硬くなる病気ですが、ウオノメは中心に魚の目のような芯があるためこのような名前がついています(一方、専門用語でウオノメは鶏眼:けいがん.といいます)。この芯が歩行時などに神経を圧迫して痛みを生じます。硬くなった皮膚を柔らかくしたり、厚くなった皮膚を削ったりして治療しますが、再発することの多い病気です。

◆円形脱毛症
突然発生する円形の脱毛で、単発のこともあれば多発することもあります。数ヵ月で自然治癒することが多いですが、多発する場合は脱毛が広がることもあります。外用薬や内服薬、光線療法で治療をします。特殊な治療が必要な場合には、佐賀大学医学部付属病院皮膚科を紹介受診していただくことがあります。

◆AGA(男性型脱毛症)
成年男性の約3分の1にみられますが、更年期以降の女性でもみられることもあります。外用薬のほか、自費診療となりますが内服薬で進行を止めたり発毛を促したりすることが期待できます(有効性、安全性の観点から男性のみの処方となります)。

◆やけど
高温により皮膚が痛む病気です。皮膚がどれほどの深さまで痛むかによって、4段階の重症度に分類されています。10歳未満の小児に圧倒的に多く、特に高温の液体(お茶やカップラーメンなど)がかかることで受傷するケースがよくみられます。最近では年齢問わず、電気あんかによる低温熱傷も増加しています。深いやけどは外用薬では治癒しないため、皮膚科形成外科チームで手術加療することもあります。

◆皮膚腫瘍(できもの)
小さな良性腫瘍は外来で冷凍凝固や手術ができます。一定以上のサイズのものや悪性腫瘍が疑われる場合は、皮膚科形成外科チームで検査、診断、手術療法を行います。切除した腫瘍は顕微鏡検査に提出し、詳しい診断を行います。